チルトシリンダーのオイル漏れ修理

船外機

ヤマハ4ストローク船外機・F40FETL 型式・6BG

チルトシリンダーのオイルシールとチルトモーターの交換作業

本日は、船外機に付いているチルトシリンダーのオイルシール交換作業。

機種は、ヤマハの40馬力(型式・6BG)です。

こちらが今回修理作業するチルトシリンダー。

オイルシールの部分から、若干オイルが滲んできています。

チルトシリンダーのオイル漏れの原因は、このオイルシールの痛みである事がほとんどです。

隣に付いているチルトモーターも錆が出ていて痛みが酷そうです。

今回は、予防整備としてチルトモーターも交換します。

それでは、修理作業を進めていきます。

修理作業

今回は、長期間整備していない船外機だったのでPTTユニット全体を外して、ピンなども清掃して組み付けしていきます。

PTTユニット取外し

まずは、船外機をフルチルトアップ。

そして、シリンダーを外すのでチルトストップレバーで支えます。

・・・が、レバーが錆びて朽ちてしまっていました。

この状態ではどうしようもないので、木を挟んでストップレバーの代わりにしました。

大雑把な方法ですが、作業には支障ありません。

応急処置的な方法なので、意図せず木が外れて船外機が下がるなど、怪我をしないよう気をつけて作業しましょう。

PTTユニットの取り外しにかかります。

チルトロッドのシャフトを抜くので、E-クリップをマイナスドライバーなどで外します。

シャフトを抜く時、シャフトに力が掛かっていると抜きにくいので、ロッドの位置を調整します。

調整はチルトスイッチを使い、チルトロッドを上下させるとシャフトから力が抜ける瞬間があるのでそこで止めます。

塩噛みなどで硬い時は、ハンマーなどを使って叩き出します。

次は、チルトモーターの電源線を外します。

念の為、メインスイッチを切ってから作業しましょう。

船外機のカウリングを外し、エンジンの前側にある配線カバーを外します。

このカバーを取ると、チルトモーターリード線の端子が付いています。

緑と青の配線のボルトを外します。

端子からモーターまでのワイヤーリードを束ねているインシュロックも外して配線を引き抜いていきます。

次に、ブラケット下部のPTTユニットを止めているシャフトを外します。

まず、アース線のボルトを取ります。(黄色矢印)

そして、両サイドにあるボルトを片方で良いので外し、シャフトを抜きます。

固着していることも多い部分なので、ハンマーで叩きながら抜きましょう。

シャフトに付いている白い部品はブッシュです。

劣化や塩噛みで割れやすい部品なので、状態が悪ければ交換しましょう。

これで、PTTユニット全体が外れます。

チルトロッドの部品交換

ここから、チルトロッドを外してオイルシール・O-リングの交換、チルトモーターの交換をしていきます。

まずは、チルトシリンダーの蓋(シリンダエンドスクリュ)。

エンドスクリュを緩める前に、チルトロッドを一番伸ばした状態にしておきます。

チルトモーターリード線の端子、青と緑をバッテリーのプラスとマイナスに繋ぐとロッドを動かす事ができます。

外す際は、特殊工具が必要です。

無い場合は、自作するかタガネで叩いて外すことも出来ます。

特殊工具はこんな形です。

シリンダエンドスクリュにある4箇所の穴に合う突起が付いています。

写真の工具は、突起が1箇所ありませんが問題ありません。

PTTユニットをバイスに挟んでしっかり固定。

特殊工具が滑らないようにしっかり押さえながら緩めます。

蓋の穴が変形しやすいので、気を付けましょう。

エンドスクリュが緩んだら、油が散らないようにウエスを被せてロッドを引っ張ると抜く事ができます。

ロッドを抜くとその下にフリーピストンアセンブリが見えるので、こちらも外してO-リングの交換をするため、チルトモーターを回して取り出します。

ウエスで出口を軽く押さえておいて、油の飛び散りとピストンが勢いよく飛び出さないように気を付けます。

取り外した部品の、オイルシールとO-リングの場所です。

シリンダエンドスクリュを外すには、端についている六角ボルトを緩める必要があります。

ボルトを緩める時、バネなどの細かい部品が沢山あるので無くさないように注意

チルトロッドの部品交換をしたら、逆の手順で元の形に戻します。

シリンダーへの組み付けは、「チルトオイル交換」の所で説明しています。

チルトモーター交換

六角のボルト4本を緩め、モーターを外します。

取り付け面の清掃と、O-リングを交換して新品のモーターを付けます。

ちなみに、モーターを外した奥はこの様になっています。

真ん中にある、白い部品を無くさない様に気をつけましょう。

新旧のモーターを比べると、錆びないように素材が改善されていました。

形もずいぶん変わっていますね。

モーターをPTTユニットに組み付けたら、チルトロッドの組み付けに移ります。

チルトオイル交換

オイルは、PTTフルード(ATFデキシロンⅡ推奨)

事前に、シリンダーの60%位まで新しいオイルを入れておきます。

そして、フリーピストンアセンブリ→チルトロッドアセンブリの順でシリンダに組み付けます。

シリンダエンドスクリュ・締付けトルク 9.0kgf・m

PTTユニットエア抜き

PTTユニットを、垂直にしてエア抜き作業。

リザーバキャップを外し、オイルが溢れてくるまで入れていきます。

オイルを入れたらキャップをして、モーターのリード線をバッテリーに繋いでチルトロッドを4〜5回上下させます。

ロッドの動きが悪い時は、手で力を加えて補助してやる

その後、ロッドを完全に伸ばした状態で再びリザーバキャップを外し、オイル量を確認。

オイル量が規定値になるまで、上記の作業を繰り返します。

オイルがレベル孔から少量溢れるくらいが規定量

エア抜きが完了したらブラケットに取り付けて作業完了になります。

取り付け面やピンなどを清掃・グリスアップしてから組み付けましょう。

配線を束ねるのもお忘れなく。

以上、PTTユニットの修理作業でした。

お疲れ様でした!

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