船外機のエンジンがかからない!自分で出来る原因の調べ方を解説

こんにちは、DIY Boatingです。

皆さん、日々ボートライフを楽しんでらっしゃる事と思いますが、大切な愛艇はいつも機嫌よく走ってくれているでしょうか?

「いざ出港!」という時、エンジンがかからずがっくり来た経験もあるかと思います。

この記事では、そんな船外機の始動不良トラブルの原因の見極め方を解説していきます。

船外機のエンジンがかからない!

さて、今回のテーマ「船外機のエンジンがかからない!」ですが、エンジンが始動しない理由は様々なパターンが考えられます。

  • バッテリーあがり
  • スパークプラグなど点火系の故障
  • 燃料ポンプなど燃料系の故障
  • 圧縮圧力が無いなど構造上の故障

色々書きましたが、誰もが一度は経験するのがバッテリーあがりだと思います。

ここからは、バッテリーあがりなどの始動不良の原因を見極める具体的な手順を説明していきます。

原因の調べ方

前述の通り、単にエンジンがかからないと言っても原因は様々ですが、大まかな原因の調べ方を見ていきましょう。

まずは、一番簡単な所から確認していきます。

セルモーターが回るor回らない

そもそも、セルモーターが回らないなら原因は限られます。

  1. バッテリーあがり
  2. バッテリーケーブルの破損・端子の緩み
  3. シフトがN(ニュートラル)に入っていない
  4. キースイッチの不具合

①バッテリーあがり

バッテリーあがりの場合は、キースイッチを捻るとセルモーターが回らない又は回るが弱々しくエンジンがかからない状況です。

普段なら「キュルキュル」元気よく回るセルモーターも、バッテリーが弱くなると「ウィッウィッウィッ」と力なくエンジンをクランキングさせるのがやっとという感じになります。

そして、チルトスイッチを押すとチルトモーターも動かない、又は弱々しい状況です。

この時、セルモーターとチルトモーターの反応は同じになります。

  • セルモーターが回らない→チルトモーターも動かない(なんとか動くこともある)
  • セルモーターがなんとか回る→チルトモーターもなんとか動く

この様な場合は、バッテリーあがりかバッテリーケーブル端子の緩みなので、ケーブル端子を確認して異常がなければバッテリーを充電、又は交換で直ります。

②バッテリーケーブルの破損・端子の緩み

バッテリーケーブルの破損、端子に緩みや接触不良がある場合も、基本的にはバッテリーあがりと同じ様な症状になります。

端子の確認は、バッテリー側と船外機側両方行いましょう。

メインスイッチをOFFにしてから作業しましょう!

バッテリー側は、塩気で青錆が出やすいので錆びているようなら一度端子を外して、サンドペーパーなどで磨いてあげましょう。

船外機側は、まずトップカウルを外しセルモーター付近にあるバッテリーケーブル端子の緩みなどを確認します。

端子の緩みを確認する時は、一度ナットを完全に緩めてから再度締め込みましょう。

こうする事で、触るだけでは分からない緩みが解消されます。

端子を確認しても異常が無いようなら、バッテリーの充電、又は交換をしましょう。

③シフトがN(ニュートラル)に入っていない

シフトがN(ニュートラル)に入っていないと、全くセルモーターが回りません。

キースイッチを捻っても、「シーン・・・」なにも起こりません。

これは、急発進防止装置が付いているからです。

ちなみに、この時チルトスイッチを押すとチルトモーターは元気よく動いてくれます。

たまに、シフトレバーの見た目ではN(ニュートラル)位置でも、実際は若干ずれているなんてこともあります。

ですので、実際にシフトレバーを前進→中立(N)→後進→中立(N)と動かしてシフト位置を確認しましょう。

きちんと、N(ニュートラル)に入れば、再始動が可能です。

よくあるのが、沖合でアンカリングしてエンジンを切り釣りなどを楽しんだ後、再始動しようとした時にエンジンがかからないシーンです。

ふとした瞬間にシフトレバーに当たってしまって、微妙に位置がずれていたなんてことがあります。

洋上でまったくセルモーターが回らないと焦りますが、落ち着いてシフト位置を確認してみましょう。

④キースイッチの不具合

キースイッチは、古くなってくるとキーを捻った時に内部のシリンダーも一緒に回ってしまう連れ回りが起こることがあります。

連れ回りが起こると、キースイッチが正常に機能せずセルモーターは回りません。

この時、チルトモーターは正常に動作します。

キースイッチの故障は、部品交換で直ります。

ちなみに、故障などで船外機を換装(交換)する際は、キースイッチアセンブリ交換もセットで行うのがおすすめです。

船外機の年式と同じく付属の部品(キースイッチ、リモコンレバー、メーターなど)も古くなっているので、エンジン換装のコストは上がりますが予防整備の一貫で交換を検討してみて下さい。

その他

他にも、ヒューズ切れなどもセルモーターが回らない原因となります。

ここまで、セルモーターが回らない時の原因について並べてきましたが、一番多いのはやはりバッテリーあがりだと思います。

一般的に、バッテリーの寿命は2〜3年。

稀に5年くらい使える場合もありますが、かなり消耗した状態だと思いますので、まだ使えると思っても海上でのトラブル予防も兼ねて、定期的に交換しましょう。

セルモーターは回るが、エンジンがかからない

ここからは、先ほどとは違うパターン。

セルモーターはしっかり回るが、エンジンがかからない状況について見ていきましょう。

そもそも船外機などのガソリンエンジンは、ガソリンと空気を混ぜてそこに火花を飛ばすことで爆発を起こしています。

爆発を起こすには、ただガソリンに火を付ければ良いだけでなく、下記の条件が揃うことでエンジンは調子良く動いてくれます。

  • 良いガス(混合気→ガソリンと空気が混ざったもの)
  • 良い圧縮(シリンダー内部の圧縮圧力)
  • 良い火花(スパークプラグの火花)
  • 良いタイミング

エンジンがかからないということは、この条件のいずれかが足りていないという事です。

とは言え、上記の条件を調べるには多少の工具と部品の取外しが必要になってきます。

ドライバーなどの基本的な工具とプラグレンチを用意しましょう。

それでは、それぞれの条件を調べる簡単な方法を見ていきましょう。

良いガス(混合気→ガソリンと空気が混ざったもの)

良いガスの条件ですが、ここでは特に燃料の流れに滞りがないか調べましょう。

船外機の燃料の流れは、大まかに言うと下記の2通りになるかと思います。

キャブレターモデルの船外機(ヤマハ船外機2〜25馬力)

燃料タンク→艇体の燃料フィルター→プライマリポンプ→船外機の燃料フィルター→低圧燃料ポンプ→キャブレタ→燃焼室

インジェクションモデルの船外機(ヤマハ船外機25馬力以上)

燃料タンク→艇体の燃料フィルター→プライマリポンプ→船外機の燃料フィルター→低圧燃料ポンプ→べーパセパレータ→高圧燃料ポンプ→インジェクター→燃焼室

この燃料の流れを意識して、不調の原因を探しましょう。

まず、セルモーターを数回回してもエンジンがかからない時、燃料室に燃料が来ているか調べます。

調べ方は、スパークプラグを外してプラグの先を確認して燃料で湿っているようであれば、燃料は来ている証、湿りがない場合は燃料系のトラブルと考えてよいでしょう。

また、燃料が来ていれば海面に燃料が浮いてくるのでそこも確認しておきましょう。

なぜ燃料が海面に浮くのかと言うと、燃焼室に入った燃料が燃えずそのまま排気と一緒に排出されるからです。

キャブレタモデル
原因対策
キャブレタの詰まりキャブレタオーバーホール
インジェクションモデル
原因対策
高圧燃料ポンプの不良部品交換
インジェクタの不良部品交換
キャブレタ、インジェクタモデル共通の確認箇所
原因対策
ガス欠給油
燃料ホース・プライマリポンプの裂け部品交換
キャップベント(燃料タンクの空気穴)の開け忘れキャップベントを開ける
低圧燃料ポンプの不良分解修理
燃料フィルタの詰まり清掃・部品交換
燃料に水が混入している水抜き・燃料交換

大まかに確認箇所を書き出しましたが、キャブレタモデルなら最初にキャブレタを確認。

確認方法は、キャブレタのドレンを開けて燃料が出てくればキャブレタの詰まりの可能性が高いです。

インジェクションモデルなら、まず高圧燃料ポンプが動いているか確認。

確認方法は、キースイッチをONにした時に船外機からポンプの作動音がするか聞く。

ポンプの作動音は、「キュイーン」みたいな感じです笑

キーONの後、数秒作動します。

ヤマハの船外機であれば、インテークマニホールドの奥にあるべーパセパレータ内に高圧燃料ポンプが付いているので、インテークマニホールド側に耳を傾けましょう。

また、燃圧計があればより確実に調べられますが、業者に依頼するのが良いと思います。

インジェクタに関しては、全てのインジェクタが一度に悪くなることは稀なので、始動不良の原因としては発生頻度は低いです。

良い圧縮(シリンダー内部の圧縮圧力)

良い圧縮は、圧縮圧力を計ることで確認できますが、通常はコンプレッションゲージと言う工具を使い計ります。

最近は、安く販売されているので購入しても良いと思います。

とは言え、圧縮がない場合はピストンリングか給排気バルブに原因があることが考えられるので、エンジンオーバーホールが必要になるので確認も含め修理業者にお願いするのが良いかもしれません。

ですので、まずは「良いガス」「良い火花」を調べてみて異常がなければ、圧縮を調べてみましょう。

取り急ぎ、圧縮があるか簡単に調べたい時は下記の方法で調べましょう。

  1. スパークプラグを外す
  2. 安全確保のため、ランヤードストップコード(キースイッチの下にある、赤いコード)を外します
  3. スロットルを全開に
  4. プラグホールに指を当て、キースイッチを回しクランキングします
  5. 1気筒ずつ確認し、すべての気筒でこの作業を行う

この方法で、それぞれの気筒の圧を比べます。

感覚にはなりますが、プラグホールに当てている指を押し返してくる強さが各気筒で同じくらいなら圧縮圧力はOKと判断します。

この確認方法は簡易的なやり方なので、正確に確認したい場合はコンプレッションゲージを使うか修理業者にお願いしましょう。

良い火花(スパークプラグの火花)

良い火花は、スパークプラグがしっかり火花を飛ばしているか目視で確認します。

方法は、専用の工具を使うかプラグを手に持って直接火花を確認するかです。

おすすめは、専用の工具を使う方です。

手に持つ方法は手軽にできますが、アースの取り方が甘いとビリビリッと来ますので気をつけましょう。

やり方は、スパークプラグを外しハイテンションコードにつなぎます。

そして、それを手に持ちエンジンブロックのナットなどにスパークプラグの先を当ててアースを取ります。

この状態で、セルモーターを回すと火花が確認できます。

各気筒ごとに確認して、パチパチと火花が飛んでいれば「良い火花」はOKです。

火花が出ていないようなら、まずはスパークプラグを交換して再度火花を確認します。

プラグを交換しても改善されない場合は、他の電気回路のトラブルなので修理業者に依頼しましょう。

良いタイミング

他の3つの要素「良いガス」「良い圧縮」「良い火花」すべてに問題がない場合、タイミングのズレが考えられます。

タイミングのズレは、めったに起こらない現象かと思います。

4ストロークエンジンは、3つの回転軸(クランクシャフト、給排気カムシャフト)がありそれぞれの動きを合わせるために、タイミングベルトを言う部品で繋がれています。

このタイミングベルトの位置がずれる事でタイミングが狂います。

タイミングがズレた可能性がある場合は、修理業者にお任せするのが良いと思います。

まとめ

ここまで、エンジンがかからない時の確認事項を見てきました。

セルモーターが回らない・回転が弱い時は、まずはチルトスイッチを押してみてチルトモーターが動くか確認しましょう。

チルトモーターの動きで、バッテリーあがりかその他の問題か判断できます。

  • チルトモーターがしっかり動く場合は、シフトがN(ニュートラル)に入っているか確認。
  • チルトモーターも動かない・動きが弱い場合は、バッテリー端子の緩みや錆が無いか確認→問題なければ、バッテリーあがりの可能性大

セルモーターは回るがエンジンがかからない時は、エンジンの原動力「爆発」を起こすための要素が揃っているか確認しましょう。

  • 良いガス(混合気→ガソリンと空気が混ざったもの)
  • 良い圧縮(シリンダー内部の圧縮圧力)
  • 良い火花(スパークプラグの火花)
  • 良いタイミング

まずは「良いガス」「良い火花」を調べて、問題ない場合は「良い圧縮」「良いタイミング」の確認へと進みましょう。

ここでは、書ききれなかったその他の要因もたくさんあるので、自分である程度調べて直らなければ、専門の修理業者に修理をお願いして下さい。

最近の船外機は、専用のパソコンで様々な情報を見ながら修理を進めたりする場面も多くなってきています。

ですが、25馬力くらいまでの小馬力船外機はまだまだキャブレタが使用されておりDIYでも修理可能ですし、高馬力モデルでも基本は変わらないので整備に挑戦してみても面白いと思います。

愛艇を自分で整備できるようになると更にボートライフが楽しくなると思いますので、この記事を参考にトラブル対処していただけると幸いです。

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